自動車の心臓部であるエンジンを守り、その性能を最大限に引き出すために欠かせないエンジンオイル。「合成油」と「鉱物油」という2つの選択肢の違いについて、正しく理解することは、車の維持費や寿命に大きく影響します。

本記事では、エンジンオイルの基礎知識から、合成油・鉱物油それぞれの特徴、選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。実際の使用例や具体的なデータも交えながら、あなたの車に最適なエンジンオイルの選び方をお伝えします。最後まで読んでくださいね。
この記事を読むことで以下のことが分かります。
・エンジンオイルの歴史と進化の過程
・合成油と鉱物油の製造方法と特性の違い
・エンジンオイルの規格と品質の見分け方
・車種や使用環境に応じた最適な選び方
・季節や使用状況による使い分けのポイント
・トラブルの予防と対処方法
・コストパフォーマンスを考慮した選択基準
エンジンオイルの歴史と進化
黎明期:鉱物油の時代
20世紀初頭、自動車が発明された当初のエンジンオイルは、単純な鉱物油でした。
当時は、原油を単純に蒸留・精製しただけの潤滑油が使用されていました。
技術革新:添加剤の登場
1930年代になると、エンジンの高性能化に伴い、様々な添加剤が開発されました。
これにより、オイルの性能は飛躍的に向上しました。
【主な添加剤の種類と役割】
・清浄分散剤:エンジン内部の清浄性を保持
・酸化防止剤:オイルの劣化を防止
・粘度指数向上剤:温度による粘度変化を抑制
・極圧添加剤:金属面の摩耗を防止
・防錆剤:金属部品の錆びを防止
現代:合成油の時代へ
1970年代以降、化学合成技術の発達により、合成油が実用化されました。
環境規制の強化や車両の高性能化に伴い、その重要性は年々高まっています。
エンジンオイルの5つの基本機能


潤滑作用
エンジン内部には、数多くの可動部分が存在します。
これらの部品間の摩擦を低減し、スムーズな動作を実現するのが、最も基本的な機能です。
冷却作用
エンジンオイルは、潤滑と同時に熱を吸収し、オイルパンで放熱することで、エンジンの冷却も行います。
【エンジン冷却の仕組み】
1. 高温部分でオイルが熱を吸収
2. オイル通路を通じて熱を運搬
3. オイルパンで大気に熱を放出
4. 冷却されたオイルが再び循環
清浄作用
燃焼で生じたカーボンや金属摩耗粉などの不純物を、オイルフィルターまで運搬し、エンジン内部を清潔に保ちます。
シール作用
ピストンリングとシリンダー壁の間に油膜を形成し、燃焼室からの圧力漏れを防ぎます。
防錆作用
エンジンを構成するさまざまな部品が錆びることを防止します。
合成油と鉱物油の製造方法


鉱物油の製造工程
1. 原油の蒸留
2. 溶剤精製
3. 脱ろう
4. 水素化精製
5. 添加剤の配合
合成油の製造工程
1. 基礎原料の合成
2. 化学反応による分子構造の制御
3. 精製・純度向上
4. 性能調整
5. 添加剤の配合
部分合成油(セミ合成油)の製造工程
1. 高品質鉱物油の精製
2. 合成油基油の製造
3. 両基油の最適比率でのブレンド
4. 性能調整・安定化処理
5. 添加剤の配合
【部分合成油の配合比率】
・合成油基油:20-30
・鉱物油基油:70-80
※製品により比率は異なります。
※メーカーによって合成油の配合比率の定義は異なる場合があります。
エンジンオイルの規格と品質
API規格(アメリカ石油協会)
現在の主要規格:
– ガソリンエンジン:SPグレード
– ディーゼルエンジン:CK-4グレード
\ API規格SP対応の全合成オイル・・・例えばはこちら↓ /
\ API規格CK-4対応の部分合成オイル・・・例えばはこちら↓ /
ILSAC規格(国際潤滑油標準化認定委員会)
現在の最新規格:GF-6
ILSAC GF-6の特徴:
・低粘度化への対応
・燃費性能の向上
・エンジン保護性能の強化
・ターボエンジンへの対応
・タイミングチェーン摩耗対策
\ 最新規格GF-6対応のオイル・・・例えばはこちら↓ /
粘度規格(SAE)について


粘度表示の見方
例:5W-30の場合
– 5W:低温時の粘度
– 30:高温時の粘度
選び方の実践ガイド
使用環境による選択
都市部での使用
高速道路での使用
寒冷地での使用
車種による選択
新車・新型車
高年式車



旧車と言われるような高年式車の場合、最新の合成油を入れると、オイルの添加成分によりシールを侵してしまい、オイル漏れなどのトラブルにつながることもあるから要注意ですよ!
スポーツ車・高性能車
トラブルシューティング
よくあるトラブルと対処法
オイル消費が多い
【考えられる原因】
・粘度が低すぎる
・オイルの劣化
・エンジンの内部磨耗
【対処法】
・粘度を1ランク上げる
・交換間隔の見直し
・シール類の点検
エンジンノイズの増加
【考えられる原因】
・粘度不適合
・オイル量不足
・劣化による潤滑不足
【対処法】
・適正粘度の確認
・オイル量の点検
・早めの交換
コスト比較と経済性
初期投資とランニングコスト
以下は、年間15,000km走行を想定した場合の比較です。
鉱物油の場合
合成油の場合
部分合成油の場合
このように追加することで、3種類のオイルの比較が明確になります。
– 鉱物油:年間総コスト21,000円(7,000円×3回)
– 部分合成油:年間総コスト21,250円(8,500円×2.5回)
– 合成油:年間総コスト20,000円(10,000円×2回)
この比較により、一見高価に見える合成油でも、交換頻度の違いにより年間コストではほぼ同等か、むしろ経済的になる可能性があることが分かります。
コストパフォーマンス比較
価格帯(4L缶の一般的な価格帯):
– 鉱物油:2,000-4,000円
– 部分合成油:3,000-6,000円
– 合成油:5,000-10,000円
長期的なメリット
【合成油使用のメリット】
・エンジン寿命の延長
・燃費の改善(約2-3%)
・修理頻度の低下
・車両の資産価値維持
よくある質問(FAQ)
- 合成油と鉱物油の混合は可能?
-
基本的に可能ですが、性能面では最適とは言えません。
次回交換時に完全に切り替えることをお勧めします。
- 高額な合成油は本当に必要?
-
車の使用状況や年式によります。一般的な使用であれば、中価格帯の良質な合成油で十分です。
ただし、スポーツ走行や過酷な使用環境では、高性能な合成油が推奨されます。
- 交換時期は走行距離だけで判断して良い?
-
走行距離に加えて、使用期間も考慮が必要です。
半年から1年を目安に、走行距離が少なくても定期的な交換をお勧めします。
- 粘度の高いオイルの方が保護性能は高い?
-
必ずしもそうとは限りません。
現代のエンジンは適正粘度で設計されており、高すぎる粘度はかえって燃費を悪化させる可能性があります。
最新技術動向と今後の展望
環境対応技術
次世代エンジン対応
【開発の方向性】
・電動化システムへの対応
・超低粘度化
・長寿命化
・新素材との適合性向上
・メンテナンスフリー化
まとめ:最適な選択のために
選択の基本ステップ
1. 車両の仕様確認
– メーカー推奨粘度
– 必要な規格
– エンジンの特性
2. 使用環境の分析
– 気候条件
– 走行パターン
– 年間走行距離
3. コスト計算
– 初期投資
– 交換頻度
– 総維持費
4. 性能要件の確認
– 必要な保護性能
– 燃費への影響
– 環境性能
この記事は、基礎知識から実践的なアドバイスまで、幅広い情報を網羅しています。合成油と鉱物油の違いを理解し、適切な選択をするための判断材料として、ぜひご活用ください。



いかがでしたか?
本記事では、
①エンジンオイルの基礎知識、②合成油と鉱物油の違い、③選び方のポイント、について詳しく解説してきました。エンジンオイルの選択は、車の性能と寿命に大きく影響する重要な要素であることがお分かりいただけたと思います。ご自身の車の使用状況や環境を考慮し、最適なエンジンオイルを選択することで、より快適で経済的なカーライフを実現してください。
では、ステキなカーライフを!